最近はあまり本が売れないと言われていますが、その中では比較的よく売れているのがビジネス書です。一時期のブームは去ったといわれていますが、たとえ一流企業に勤めていても安泰とは言いきれなくなった現在、ビジネス書を読まなければ、生き残れないということで堅調な売り上げを保っているようです。
このようなビジネスマンは、本を読むという点では実によく本を読みます。しかしこういう人たちが、ビジネス書以外の本を読むかというと、あまり読まない人が多いのが残念です。
仕事が忙しいというのが一番の理由でしょうが、話を聞くと、「小説などのフィクションを読んでもそのまま自分の利益にならないから」という理由で、他の本を一切読まないのだというのです。
これは貧しいことです。何が貧しいかって、何が自分の利益になるのかということを、自分は全部知ったつもりでいるというのが「貧しい」のです。
「この世にお金で買えないものがあるか」という議論がありますが、その論点に立って考えると、物語とはまさにお金で買えないものです。誰かの手によって書かれて売りに出て初めてその物語は買えるものになります。
逆にいえば、本来であれば価値がつけられないものである「物語」を、お金を出すくらいのことで手に入れられるというのは、とてつもない僥倖だともいえます。
読み慣れたジャンルの本しか読まず、知らない世界をシャットアウトするという読書なら、しないほうがいいくらいです。
社会人になってからはビジネス書しか買っていないという人は、ぜひ小説にも挑戦して、本を読む楽しさを体感してほしいと思います。

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