まず、この動画を見てほしい。
Testing Your "Motion Quotient" - YouTube
小さい円と大きい円の動き、どちらの動きがはっきりわかりやすかっただろうか。
これは被験者がノイズを無視しやすいか否かであるかを図る視覚テストで、実際に行われた研究だ。
被験者は棒のパターンの移動方向を質問され、その回答にかかる時間が測定された。実験のあいまに、被験者たちは標準的なIQテストを受けた。
実験によると、画像が小さい場合はIQのスコアと反応の速さがおおむね相関関係になったという。つまり、IQスコアが 高い人ほど、動きの方向を素早く把握することができたのである。
ところが、興味深いことに、画像が大きくなるとこの傾向は正反対になった。IQのスコアが高いほど、パターンの移動方向を認識するのにかかる時間が増えたのだ。
この実験からIQスコアが高い人ほど気を散らすものを除去するのが得意であり、それゆえに大きな画像を背景に過ぎないと無視する傾向が強くなることが分かったのである。
ではなぜ、瞑想で頭の回転が速くなるのか。
実際、生産性を上げるツールとしてGoogleでは社内研修として瞑想を取り入れている。
瞑想には様々なやり方があるとされているかが、一番の肝は「雑念を消すことに集中すること」、「何も考えないことに集中すること」だ。
ここに頭の回転を速くする理由がある。
誰しも経験があることだとは思うが、「緊張」によって頭が真っ白になったり、「不安」などで普段の自分の能力を存分に発揮できなかったと感じたことがあるはずだ。
なぜか。
「緊張」や「恐怖」や「怒り」、「不安」などといった「感情」は脳のワーキングメモリを無駄に消費するからだ。
「不安」や「緊張」といった感情は脳の中でも比較的原始的な部分である偏桃体によって生み出されている。
外敵から身を守り、生き延びるためには「恐怖心」は必要不可欠だ。
しかし近代社会では過度の恐怖心や不安感といった原始的な感情はかえって邪魔になる。
これらの感情は思考をする上で「妨げ」でしかない。いくら「不安」を感じたところで勝手に問題が解決するわけではない。すなわち「ノイズ」でしかないのだ。
問題解決に不必要なノイズに脳のメモリーを奪われるため、認知力が落ちるのである。
逆に言えば、無駄な情動を抑えたり、その場に不必要な思考、不適切な思考をしないよう自己をコントロールすることで脳のワーキングメモリをクリーンな状態に保つことができる。
瞑想を継続することによって偏桃体によって生み出されるノイズをコントロールし、より高度な思考を司る前頭葉主体の頭の使い方ができるようになる。
結果として頭の回転が速くなるのだ。

- 作者: 苧阪満里子
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