よくコンテンツや文章を書くことについて記事を書かれているid:rootport氏。
そんな人が紡ぐ物語がどんなものなのかという興味があり、kindleでダウンロードして読んでみました。

- 作者: Rootport
- 出版社/メーカー: Rootport
- 発売日: 2013/11/14
- メディア: Kindle版
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感想としては、文体は読みやすく惹きこまれるのですが、なんとも言えない気持ち悪さを感じました。
この方の書く小説には「頭の良い特別な俺たち(主人公たち)と、それを理解できない馬鹿な凡人たち」っていう構図がいつもあって、そうした匂いを物語から嗅ぎ取るたびに「なんだか、きもいなあ」、と思うわけであります。
自分では他人を理解しようという努力は全くしないくせに、そのくせ自分は他人から理解されないことに絶望している幼稚な自己中心性。
自分で勝手に創り上げた小さな殻に閉じこもってるくせに、この世の全てを悟っているかのようなふるまい。
他人とは違う頭の良い(と思い込んでいる)特別な自分。
一言であらわすならば、「どこか中二病臭い」ということになるのでしょうか。
例えば、中学生が教師に問題を当てられるシーンがあるのですが、こんなセリフが出てきます。
「だいたい、そのような暗記に何の意味があるのですか。先生は梅根・勝田論争というものをご存知ですよね。社会科とは本来、問題解決能力を伸ばす教科であるはずです。大事なのは覚えることではなく、覚えたことを運用する力。考える力だと僕は考えています。その点については、先生はどうお考えですか?」
痛すぎます。
大人が「もし今の知識や知能を持ったまま、小学生や中学生に戻ることが出来たら、大人をこんな風に論破するのに」という妄想を読ませられているようで、読んでいて恥ずかしくなります。
他にも、
「ごらん、ここからは下界がよく見渡せる。人も、街も、みんな小さく見える人工的な世界だ。<中略> くそったれの作った最低最悪の世界だ。」
というセリフ。まるでRPGのラスボスみたいです。
これは高校生のセリフなのですが、「ちょwwwwおまwww中二病すぎwww」みたいなテンションではなく、大真面目に「頭の良い俺たちと馬鹿な世間ども」という設定です。
おそらくこのモデルになっているのが、著者なのだろうなと思うと、またさらに「きもうぃなあ」、と思うわけであります。
この「きもうぃなあ」という感覚は、氏のブログを読んでいるという前提があるからなのかもしれません。「頭の良い俺と俺を理解できる人間以外は馬鹿」というスタンスが小説にも滲み出ていて、どこか温度差を感じる作品でした。